ナル君がきょとんとした顔でジョニーを見つめる。

「それって、確か・・・」

そう、このジョニーはもっくんがゲームセンターで

獲得した大きなテディベアである。

とくに何もないある日にもっくんがくれたものだ。

「ジョニーはナル君といつも一緒ですッ!」

大きなお目々をパチパチ瞬くナル君の顔にずいっと

ジョニーの顔を近付ける。

「うわっ」

《元気を出したまえ!》

「ヒヨリン?」

「必ず、戻って参ります。それまではジョニーと

一緒に待っていて下さいませんか?」

「うん、分かった!」

「それで、納得しちゃうのかよ。」

伊織君、ナル君が快く承諾してくれたのだぞ。

「それ、何で変な名前が付いてんだよ。」

「本当は、パルメザンかミョルニルか悩んだのよ。

ジョニーが一番しっくりきてしまってイケメンだろ!」

「日和ちゃんのネーミングセンス怖いね。」

「・・・・・(怯っ)」

京君、怯えなくても良くないか?

「っで、理由は何だ?」

ちぃ君がガブリとどら焼きを口に入れる。

「えっと、その・・・社会的貢献をするためだ!

人生は経験と言うからな。それ以上でもそれ以下でもないぞ。」

「答えになってねーだろ。」

「いや、だから・・・・」

恐ろしい、ちぃ君には最も言わない方が良いと見たよ。

ケーキ屋でバイトなんて目を輝かすに違いない。

「・・・け、」

「け?」

ちぃ君が首を傾げる。恐ろしく綺麗な顔で狼狽えそうだった。

「けっ、研究資料を集めるためにも時間が必要なのだよ。」

「テストが終わったばっかりなのに頑張るね?」

馨君が信じてくれた!?

馨君、嘘ではないわ。

実際、暇があれば資料集めだもの。

「う、うん、年明けまでに送らないとなら、ならないのだよ。

オホホ、大変だわ。忙しくて寝る時間もないわ。」

これは事実なので嘘じゃないから!

それにしても、若干の隠蔽も難しいものだわ。

もう少しまともなことを言うつもりではあったのに、

何だか悪いことをしてしまってるようで後ろめたい。