伊織君がクッションからチラッと顔を上げる。

「そっか、えっと、あたしは何か用意とかするべきかね?」

七夕の時も全然任せっぱなしだたからな。

今回は何か用意をするべきだよね。

「んー、特に必要ないよ。こっちで用意しておくから。」

「いや、それはちょっとあたしの気が済まないのだが!」

何か用意出来そうなものとかないかな。

前日は土曜日で休みだし、準備出来ると思うんだよね。

あたしが出来そうなことと言えば・・・!!

「そうだ!ケーキ作るよ。ちゃんと人数分用意する。」

「o(・∇・o)(o・∇・)o」

ちぃ君の反応が予想以上に早かった。

「ヒヨリンのケーキ食べたい!!」

ナル君も嬉しそうに期待してくれてる。

「じゃあ、日和ちゃんが大変にならない程度でいいから。」

「試作品作ったら味見をよろしくお願いします。」

「任せろd(*'-'*)b」

こういう時だけやる気を見せるのですか。

「ちぃーさん、今日はどら焼きなんだ・・・」

まるで、君は猫型ロボットのようですよ。

青いタヌキと間違えられないように猫って

名札付けさせないとよね!

「あと、事後報告で申し訳ないのですが、

しばらく放課後ここには来れなくなります。」

ついでに明日から放課後ここに来るのは休止活動

ということになったことを表明した。

「えっ!?」

ナル君があたしの教えでようやく作ったサンタの帽子を

ぐにゃっと破壊して下に落下させた。

「あわわっ、折角作った帽子さんが!!」

「何で?」

「えっ、はい!?」

うるうる攻撃は最早必殺技だと豪語してもいいぐらい

の戦闘能力を見せた。

「ヤダ、ヒヨリンが来なくなるなんて・・学校に

来る意味がなくなったも同然だ。」

えー、何その沈んだ空気は!!

気を確かにするんだ、ナル君!!

「いや、二度と来ないとは言ってないのですが!!」

しばらく来れなくなるわけでそんなもう来るかよ

ケッとやさぐれて出て行くわけじゃないのだが。

「クリスマス・イブイブまでほんの2週間程度

やらねばならないことがありまして、ナル君が

寂しいと言うならば泣く泣くジョニーを置いていきます。」

さっきからあたしの逆隣に存在するクマさんのぬいぐるみを

手にしてナル君のお手々にクマさんの手をポンっと乗せた。