ガヤガヤと騒ぐ不良メンバーズに鍋とお盆を奪われてしまった。
残ったのはもっくんの持つ一番大きい鍋のみ。
もっくんの鍋に手を伸ばすともっくんが先に行っていいと言ってきた。
「だって、もっくん、重いでしょ?作った本人が一番分かるよ。
一緒に持ってけば重さ半分になるもんそうしよう!」
「ひーちゃん、作ってくれたんだからそういうことまで
気にしなくてもいいんじゃないか?」
もっくんは優しい上に癒し系のクマさんだ。
これで、森に住んでいたらあたしの夢が叶う!!
「もっくんのお住まいはどこら辺ですか?」
「ん?海が近かったかな。」
えっ、白くま説!?
「ほ、ほ、北極がお住まいでしたか。」
「絶対に違うよね。」
白くまさんも可愛いもんね。
氷の上を寝そべってたらシャッターチャンスだよね。
一度でいいから北極の白くまに会って握手をしてもらいたいわ!
「ひーちゃん、俺どうしようもないから早く戻って来て。」
※完全に妄想してぐふふと笑ってる日和に困惑してるもっくんです。
バコッと後頭部を叩かれて現実に引き戻される。
「暴力はいけません!」
「だったら、妄想したまま通行の邪魔してんじゃねぇよ。」
「な、何だと!!」
妄想なんてしてないもんね。
慶詩め、日頃の成敗をここで返してくれるぞ!!
ただ、白くまさんに会いたいなと思っただけだ。
そうよ、あたしのどこが・・・・はい。
「すいませんでした。」
「おめぇのせいでもっくんが困ってんだろうが。」
「はい、承知してます。もっくん、ごめんなさい。」
「いいよ、ひーちゃんお汁粉作ってくれたし、付き合い
きれなくてごめんね・・・」
いや、もっくん全然悪くないから!
「ほら見てみろよ、心優しいもっくんを謝らせるとか
一番やっちゃいけないことだろ。」
「そ、そんなに言わなくても良くないか!!」
結構、傷付きやすいんです。
何せ、心はガラスのハート製ですから、
ちょっとした衝動で砕け散ります。
「ひーちゃん、先に行ってるよ。」
数メートル先にいつもの部屋の扉があって、
慶詩と言い争うあたしを余所にトコトコと
もっくんが先に帰還した。