おじいちゃん、というのは、僕から見てお父さんのお父さんだ。
 二世帯住宅で、僕の家族と同じ屋根の下で暮らしている。僕らは二階に、おじいちゃんが一階だ。
 おばあちゃんは、数年前に癌で亡くなった。
 おばあちゃんが亡くなってから、おじいちゃんはずっとこんな様子だった。
 おばあちゃんが生きていた頃の癖なのだろう。思ったことをぽろっと口に出す。それにおばあちゃんが応え、会話となる。
 だけどおばあちゃんはもういない。僕は、それは仕方ないことだと思った。そして、それは悲しいことだとも思った。