「おじいちゃんったら、またボケてる」
 母さんが吐き捨てる様に言った。
 一階にいるおじいちゃんは、いつもの様にテレビに映る人物に話しかけていた。
「ほう、今日は晴れなのか。でも昨日の天気予報は当たっていなかったぞ」とか、「このお店はどこにあるんだい? このメニュー以外にも何か置いてあるのかい」とか、「この女が犯人だ。な、そうだろ?」とか。