「天翔…!!」


あたしは夢中でその胸の中に飛び込んだ。


「っ!? ちょ…美桜!?」


天翔は明らかに焦っている。


でもまたすぐにいつもの冷たい表情に戻ってしまった。


「…なんだよ」


そう言って、やんわりとあたしの肩を押し返す。


「……ッ…」


天翔の顔を見て安心したのか、あたしの頬を涙が伝う。


天翔は何も言わず、優しく涙を拭ってくれる。


その手は今までの殴りあいで、切れて傷だらけだった。