「蒼…ありがと…」


「なんで?何に?」


「うぅ~ん…なんだろ…
今、こうやって蒼を抱きしめられて
すっげぇ幸せで…それで、
傍にいてくれてありがと、かな?」


「そっかぁ…なら、わたしもありがとう。
私は、空に好きでいてもらえてる
その奇跡に感謝してる。」


体の向きを蒼に向けて鼻の頭にチュッとキスする。


蒼がくすぐったそうに肩をすくめてから、「あたしも…」とチュッと、頬に。


しばらく甘いバードキスを互いに繰り返しながら微笑みあった。


ベッドで抱き合いながら見つめあい、そんな気持ちを口にする。


16歳の俺たちの世界なんて広がってるようで、実は狭くて…


今俺と蒼は、この二人の時間、空間が全てって感じるくらい、互いしか見えてないんじゃないかなぁ…


ふっと、柄にもなく、真面目にそう思った。


☆☆☆


ホテルからでで、夕方の街を歩く。


俺のスマホが着信を知らせる。


「あれ、亮一だ…なんだろ」


そう言いながら出てみた。


「亮一?なにぃ?どぅ…
おいっ!亮!!……ぁ…あぁ、
わかる、あぁ、分かったから、
すぐ行くから、待ってろ?なっ?」


急いで切ると「蒼…話しは後だっ、行くぞっ」蒼の手を握り俺は亮一の元へと急いだ。


甘い秋の1日はそのままでは終われなかった…