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「空っ、お待たせぇ」
まだまだ明るい空の下、先にカフェから出ていた俺のところに蒼が駆けてきた。
「はぁっ、外は暑いねぇ~
で?空のリクエストはなぁに?」
笑顔で見上げてくる蒼に、なんて言えばいい?
ストレートに『ホテルに行こう』か?
『蒼を抱きたい』か?
なかなか言葉が出せなくて、揺れる俺の瞳を、笑顔を静かな微笑みにかえて見つめていた蒼がゆっくりと言った。
「空……私を、抱いてくれる…?」
瞬間、俺は目を見開き蒼を食い入るように見つめ返した。
「あ、おい…」
「もし…今、空の心にある願いが…
私のそれと同じなら…
空の誕生日である今日に…って…」
ここまで蒼に言わせてしまって、ヘタレもいいとこなんだけど、とにかく俺の気持ちをこの場で正直に言わなきゃ駄目だ、取り返しがつかなくなる前に…
「蒼っ!俺、ずっとそうなりたいって
思ってた…今もすごく…
蒼のこと欲しい、よ…
俺が、しっかりしてないから、
女の蒼に言いにくいこと
言わせて…ごめんな…」
腕を引き寄せ夕陽のなかで抱き締め想いを話す。
「俺…経験、なく、って…
うまくできるか…で、でもっ!
気持ちは、蒼を想う気持ちは
誰にも負けないから…だから…」