「私ね?小3で病気が見つかって、
結構順調で、薬も耐えられた。
だから、花火の日のことも
病気を見つけられたからラッキー
くらいで、陸にも負い目を
感じて欲しくない。
だけど…小学校の卒業間際ころ検査の
結果が思わしくなくて…
体調も悪くなって…中学は入学式、
出られなかったの…」
「え?さっき、再発とか転移は
なかったって…」
「うん、癌細胞は…ね。
白血球の数値が悪くて免疫力が
低下しちゃって…始めた薬が
副作用が少し強くて…さ…
なんだか、世界の不幸を全部
背負った気になっちゃってて…」
「そんな時に陸に空の写真…
見せてもらったの…」
「あ、前に言ってた…」
「うん、実はほんとの一番最初は
中1なの。フフフッ…」
ごめんねって顔で言うけど、そんなに以前から俺を知っててくれたことが嬉しかった。
「その写真…って、俺…
記憶ないんだけど…」
「あ、見る?」
そう言ってスマホをいじり、1枚の写真を俺に見せてくれた。
「3枚あるんだけどね、
これが一番好きなんだぁ♪」
そう言われて見ると…
快晴の空をバックに数人の仲間と何かを爆笑してる俺…
片手にボードをかかえて、何がそんなに可笑しいのかってくらいに、破顔してる。
そして、雲ひとつない青空がそんな俺達を優しく包んで、気持ちをさらに明るくしてくれてる、そんな写真だった。