しばらくすると……
『ヒュゥ~~~ッドッドォ~~ンンッ~!!!!!!!!』
最初の花火が上がりはじめた。
兄を探し歩く内に、蒼は河川敷に向かう人波にはじき出され、路上駐車で溢れる道路に飛び出る形になった。
そこに運悪く、隙間をぬって走ってきたバイクにほんの少しだったらしいが、軽く接触し路駐のバンの方に体が戻され、そのまま叩きつけられた。
バイクに轢かれはしなかったが、勢いよく全身を車にぶつけ気絶し、倒れたのを他の観客が見ていてくれ、あまり時間を置かずに病院に運ばれた。
蒼の身に付けていた財布に連絡先が書かれていて、家族にすぐ電話が入り、ちょうどそのころ、もしかしたらと帰宅した陸也にも何があったか伝わり家族3人で病院へ急いだ。
幸い、全身を強打してはいたが、骨折はなく、打撲傷のみで数日で体も動かせるとの診断だった。
家族の安堵は計り知れない。
しかし、気絶もしたし細かい骨折などないかこの際だと、二日後に全身のCT検査をした。
それで安心して退院できる、はずだった…
が……‥
まだ小3の蒼に卵巣腫瘍が見つかったのだ。
そして精密検査の結果、初期の卵巣ガンと判明してしまった。
卵巣腫瘍は通常分かりにくく、症状が出たときにはかなり進行していることが多く、悪性の卵巣ガンの場合もある。