蒼の部屋に入り床に座ると、蒼はアルバムを取り出した。


「少し長い話しになるかもだけど、
聞いてもらえる?」


「当然」


「えっとね……‥‥」


アルバムを開きながら蒼が子供の頃の話を始めた。


☆☆☆


幼稚園に陸也が通い出すと「一緒がいい」と泣きながら幼稚園の中に隠れてしまうほど、小さな頃からお兄ちゃん子だったと話し出す蒼。


蒼と陸也はとにかく仲の良い兄妹で、大きなケンカもなく、登下校もいつも一緒で手を繋ぎながら歩いた。


蒼が小1の夏休み、初めての作品の宿題…蒼は陸也の真似をして木材をくぎで打って何だかの形にしようと、苦戦する。


陸也は器用に、父親に教わった通りに小さな箱を完成させた。


でも蒼はやっぱり…金ヅチで指を打ってしまい大泣き。


すると陸也も「ごめんね」と大泣き。


自分が見ていなかったこと、怪我させたこと、痛いのを代わってあげられないこと…それを謝り泣いてくれたしい。


作品は泣き止んだ陸也の手で仕上げられ、蒼は学校に『お兄ちゃん作品』として、すごいでしょうと自慢して持っていったそうだ。


そんな大好きな二人は蒼が小3、陸也は小5になった。


買い物やお祭りなどの外出は友達ともするが、だいたいは陸也の仲間に蒼が加わるパターンで過ごしていた。