「空くん…?私のキスで…
気持ち良かった?
だから、初めてに思えなかったの?」
「ぅ、ん…」
力のなかった蒼の瞳が意思をもって俺を見つめてくる。
「陸、カンナ…もう大丈夫…
ちゃんと二人で話すから…
心配かけてごめんなさい、ありがと」
俺に抱きかかえられたまま、顔だけ二人に向けてそう話すと、優しく微笑んだ。
「あっそ?ならいい…蒼が
傷つかないなら、なんだっていい…
カンナ、行こうぜ…」
案外サラッと二人は行ってしまい、俺と蒼は改めてベンチに座り話始めた。
「空くん、私は彼氏は空くんが初めて。
好きになった人は、いないとは言わない。
でも、これほどの想いをもった相手は
今までいないし、きっとこれからも…
空くん一人。」
「蒼…」
こんなとき照れたりして、なかなか想いを言葉に出来ない人も多いと思うけど、蒼は違った。
表裏がなく、物事をハッキリ言うのが彼女の長所でもあるから、飾らない言葉で素直に伝えてくる。
「告白されても、手も繋いだことも、
男子と二人で出歩くとかも、1度も
したことないよ。」
「ん…」
「キス…卒業式のあのキスが、
私のファーストキス。これは
絶対だから。空くんが…上手って…
言ってくれたけど…」