「ほんとっ?よかったぁ~
一人とか寂しいし、あの日の
あの何とも言えない感じ…
時々寝るときとかに襲ってくるの…
だから…もし…あの子に会ったら私…」


顔を暗くして言葉を止めてしまった蒼の頭をポンポンとしながら覗きこむ。


「だな…怖いよな…」


「あ…あのね?私の嫌な感じはね?
空に会えなくなるかもって…一瞬でも
そんな考えが頭を過ったからで…
ケガしたこととか、そうゆうんじゃ
ないの…」


てっきり、恐怖を感じていて…あの場面を思い出したくないってのかと思ってた。


でも、蒼の不安は『俺との別れ』だった。


俺は外にも関わらず足を止めて蒼を抱き締めた。


「ん?空…?」


目線だけなんとか、上を向かせて俺に聞いてくる…『どしたの?』


「なんでもなぃ…ただ、蒼が
すげぇ大好きで可愛くてしかたない…」


「なっ!?」


昼間に、人通りの多いとこで抱き締められてただただ、真っ赤になる蒼だった。


俺は、周りの目など気にしていられなかった。


ただ、ただ…愛しくてたまらなかったんだ。


☆☆☆


新しいクラスにだいぶ慣れてきて、相変わらず中谷さんのおしゃべりはガンガンくるけど、ニコニコかわす蒼をみて、まぁいいかと、安心できたのがゴールデンウィーク直前だった。