俺は仕方なしに軽く手を挙げて、承諾の意思を表してやった。
すると、オドオドしたままではあったが、少しだけホッと息をはいていた。
「中谷さん、バイバイッ、
また明日ね~」
☆☆☆
新しいクラスのメンバーのことを、分からないなりに説明したりしながら蒼と歩く。
「あ…あのね?」
話が途切れたところで蒼が少しだけ遠慮がちに聞いてくる。
「ん?」
顔を蒼の方に向けて聞き返す。
すると、先程とは違う、真剣な顔付きで空を見ながら話始めた。
「明日ね…警察に行くの。
事情聴取って言うのは、入院中に
警察の人が来てくれて終わってた
らしいんだけどね?
あれから、犯人…逮捕されて
送検?って言うの?
なんか、裁判になるとか…
なんか、捕まったままらしいよ。」
そこで言葉を切り、今度は俺の方を見上げながら続ける。
「でね、裁判に入る前に、再確認
したいとことか、あるんだって。
あの、男の子も時間をずらして
来るらしくてね。
入れ違いになるときに、
なんとか、時間を合わせて
うちらに会いたいって言ってる
らしいの…一緒に居てくれる?」
もう一人の被害者の男の子の両親が、我が子を守ってくれた、蒼に会いたいと思うのは当然だろう。
「あぁ、もちろん、一緒な。」