「うっ…嬉しいけど、恥ずいぃ…」
頬をそめながら、上目遣いに俺を睨む。
まただ……
無意識、たち悪りぃ……
俺は蒼の頭をくしゃくしゃっと撫でて落ち着こうとした。
☆☆☆
放課後、蒼と教室を出て行こうとすると、またしても、中谷さんが寄ってきた。
ジロッと俺が睨むと、少し怯んだが「あっと…あの…5分…いぇ、3分だけっ…」と言ってきた。
蒼はニコニコしながら「うん、いいよ、なんだろう」と返事してる。
廊下の端に寄りながら俺は二人から少しだけ離れた。
会話は聞こえてくる。
「あのね、昼休みは邪魔して
ごめんね?あたし…彼氏いたことなくて
なんだか2次元世界ばっかに
ひたってたから…本物の恋人って
どんなだろうって、考えたら
止まらなくて…それでつい…」
「わたしと空はケンカもするし、
意見が違うこともあるし、
それでも、お互いを尊重したり
尊敬したり…ん~
いたって普通だと思うよ?」
「そんなことないっ!
美しすぎて、マンガの世界みたいだし」
「うわぁ、美しすぎとか…
めちゃ恥ずかし…
なんだか照れちゃって困るけど…
聞きたいことにはなるべく答えるし
質問じゃなくても、おしゃべり
しようねっ」
「ほんとっ?」
そう言いながらもチラチラ俺の機嫌を伺う様子。