だが、それは悪評ではなく、可哀想だねとかそういったもので、同情的なないようだったのでほおっておいた。
☆☆☆
昼休み。
俺はイライラしていた。
朝に話しかけてきた中谷さんが、俺と蒼の弁当を食べてる机に椅子を持ってきて次々に蒼に質問。
「お弁当って神崎さんが
二人分作るの?」
「その指輪はいつの贈り物?」
「誕生日ってどんな風に過ごすもの?」
「デートはワリカンなの?」
…………
……
「うるせぇ…」
イライラが押さえきれず、睨みながら呟く。
空気の読めなさそうな中谷さんも、俺のまとう怒りにさすがに気がついたらしく……
「えっ…あの、えっと……」
俺を見るけど、目は合わせられず視線は下がり気味でオドオドしだす。
「あのさ、蒼と話したいかもしんないけど、
今は俺とメシ食ってんの…
いい加減にしてくんないかな…
あんたが話続けっから、蒼、
弁当減ってねぇじゃん…」
普段から少食の蒼は小さな弁当箱を使ってる。
なのに、半分以上残ったまま、既に箸を手から放してる。
「あ…ごめ、な、さい…」
自分は喋りながらも器用におにぎりを食べきっていて、蒼が食べられてないことにも、気がついてなかったらしい。
「空…心配してくれてありがと。
今日はね、少し食べきれないだけだよ。」
優しい蒼はほんの少しだけ微笑みながら中谷さんを庇った。