「へぇ…私に?
なんにも、いたってふつ~人間
だけどなぁ…」
「いやいやいや…こんな指輪を
しちゃってて、似合っちゃうカップル
そういないし…」
チラリ…俺の手元も見ようとしてるから、さりげなく左手をポケットに入れてしまった。
あんな風にジロジロベタベタされんのは、ごめんだった。
「これさ、ペア?これさ…」
中谷さんがそこまで話したとき予鈴がなりだした。
「あっ、まずいわ…
時間…また、また後でお話し
したいこととかあるの、聞いてね」
そこまで話してようやく自分の席に着いていた。
それから5分ほどで担任がきて、出席を取り始める。
「神木…」
「はい」
「神崎」
「はいっ!!」
その声を聞いたとたん、『えっ?』って驚いた顔で蒼を見る担任。
「おぉ~!神崎ぃ~
復活かぁ、おめでとう。
もう、いいのか?」
ニコニコと蒼に話しかける担任川北。
そう…またしても川北だった俺らの担任。
「はいっ、ご心配をおかけしました。
もう、日常生活では困りません。
ただ、体育など無理なものもあります。」
「おぅ、そうか。了解だ。」
それからまた、出席の続きを取り始めた。
事件はかなり大きく報道されたが、被害者が蒼だとはもちろん、公表されていない。
だが、長期間ケガで休んだことで憶測は噂になり昨日までいろいろ俺の耳に入ってた。