それから医師がきて診察をして、今日はこのままで大丈夫なら明日からは一般病棟で入院となった。
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その日は体力のない蒼は、薬などのせいもありしばらくすると、俺の方を見ながらもまぶたが落ちてきて、眠ってしまった。
俺は看護師に明日の病室などを聞いてようやく安心して、家へ帰った。
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翌日は陸也と待ち合わせ、午後の面会時間に病室へ行った。
蒼の母親は昼に来たそう。
医師は傷が深いので3週間は入院してほしいと話したらしい。
「新学期、始まっちまうな…」
「大学は?」
「あぁ…4月の5日だったかな、入学式」
「へぇ…それには間に合わないなぁ」
そんな事を話ながら病室に入る。
一般病棟の個室に蒼は寝ていた。
静かに上下する胸元や穏やかな寝顔を見ていると普通に、部屋で寝てるような錯覚さえおきる。
でも、白っぽい室内に、耳障りな機械の音と点滴。
あっという間に現実に引き戻された。
「蒼…?」
陸也が遠慮がちにベッドサイドで声をかけている。
「ん…ん~……」
少しだけ身動ぎしたが、起きなかった。
「まだ起きそうもねえな。
お前はどうする?」
陸也に聞かれて「時間があるから、ここで待つ」と答えた。