グィーーン……
手術室の自動ドアが開き、ストレッチャーベッドがガラガラと音を立てて素早く通り過ぎようとする。
「「「蒼っ!!」」」
母親と陸也、そして俺の声が重なり、廊下に響く。
側の看護師が「先生からお話しがあります、まだ、安定してませんので、すぐ、集中治療室へ移動します、行かれますか?」
言葉が終わる頃には蒼は既にエレベータの中に消えていた。
「陸也と神木くんは蒼のところへ
行ってあげて…母さん…話を
聞いてから行くわ。」
そう言って、最後に出てきた医師に向かい頭を下げた。
☆☆☆
ガラスのむこう、体のいろんなとこが管に繋がり窮屈そうな蒼を陸也と並んで見つめる。
ただ、見つめるだけ…
「どう?」
静かに声をかけてきたのは蒼の母親だった。
「医者…なんだって?」
陸也が早口に聞く。
すると、俺を気にしながら口ごもる。
「あ…俺…聞いちゃまずい…ですか…」
「ん…まずいというよりはね…
聞いたら…神木君が
辛い思い…するかなって…」
そう言われて一瞬その場が凍ったようになったが、直ぐに俺は言った。
「俺にとっては蒼がいないこと、
傍に居られないことが
一番苦しくて辛いことなんです…
どんな未来も乗り越えますから…」
と……