「そうですか…クソッ…ムカツク…」


警官には聞こえないほどの小さな呟きが俺には聞こえてきた。


それは、自分ではもう、犯人を叩きのめすことが出来ない苛立ちに違いなかった。


「コンビニの人の話じゃ、……」


警官と陸也が少し隅っこによりながら話を続けてた。


俺はまた、座り直してしょっていたバッグから、今日渡すはずの小さな箱を出していじりまわしていた。


☆☆☆


「まだ…だな…」


陸也が静かに俺のとなりに座りながら、俺に…というわけでもなく呟いた。


俺らのすぐ近くの扉の上にはまだ、『手術中』ランプが赤く点いている。


「陸也…おれ、さ、…
蒼の居ない世界とか、一秒も
居られない…無理だ…」


ランプを見ながらそんな事を言った。


本心であり、そうなったら一番苦しい結果だ。


そうならないよう、ただひたすらに蒼の無事を願っていた。


☆☆☆


「陸也っ!」


女性らしい靴音でかけてくる蒼と陸也の母親が視界に入った。


「おふくろっ…」


バッと立ち上がり、それ以上は言葉の出ない陸也に近づき「どうゆうことなのっ!」と激しく陸也を揺さぶりながら問いかけてきた。


「いや…小学生を……」


少し離れたところで陸也が事情を説明していた。


フッ……


ランプが消えた…