男性のうちの一人が「うるせぇよ、そいつは弟なんだ、こっちよこせっ!!」と怒鳴りながら手を出すのと、もう一人が手に持つナイフのような物をつき出すのが見えて、慌てて陸也に電話したらしい。


見守りながらもう一人いた店員に警察に電話するように言って店のドアを開けて男の子を「こっちこいっ!」と呼んだ。


チラリと蒼が確認し、手にスマホを持ちながら足がガクガクしてる男の子を支えながらなんとか、コンビニへ行かそうとする。


俺と話していた蒼が、怒鳴りながら男の子を庇っていたのと、気が動転したナイフを持つ男性の腕が、思いきり振り回されて蒼の下腹部に刺さったのととにかくあっという間だったらしい…


そして駆けつけた陸也や他の客らに男性二人が押さえつけられ、陸也は俺に電話した…


☆☆☆


「蒼…」


それからは俺も陸也もうつむいたままじっとしていた。


「あ…親は…?」


ふっと思って陸也に聞くと、母親は外出先からこちらに向かっているらしい。


足音がして顔をあげると、警官がこちらへくる。


「えっと、どちらがお兄さん…かな?」


「俺です…」


「そうか、いや…大変なことになって
辛いだろうが、妹さんの状況を
店員の話しと合わせたくてね。
犯人はそのまま逮捕したからね。」