陸也さんたち3年の卒業式が終わり、学校が寂しくなった。
蒼も心なしか沈んでいるようにも見えた。
☆☆☆
明日は蒼の誕生日。
リングは昨日買った。
かなり迷ったが、シンプルなシルバーリングで小さなハートのモチーフが全体に刻まれていて、裏に二人のイニシャルを入れたものにした。
これなら、パッとみでは俺がしていても、悪くないかなってものだ。
学校が修了式だからそのあといったん着替えてから、待ち合わせることにした。
いまからかなりドキドキしてる。
リングに約束を込めて贈りたい、そう、思ってる。
受け取ってくれるのは分かってるのに、今までこれほどの金額のものはプレゼントしなかったし、なおさら緊張する。
どうか、明日の俺、上がりませんように。
☆☆☆
「1年1組の担任として
お前らと関われたことを嬉しく
思ってるし、有り難くも感じてる。
ありがとう…」
川北が俺らに向かい頭を軽く下げた。
正直、驚いた。
うちのクラスはもとからまとまりがよくて、いいやつらの集まりだったとは思う。
そんな中で川北はかなり俺たちに絡んできた。
いろいろと用事を言いつけたり、行事につい俺らが乗ってしまうようにしたり、ささいなことに気がついて茶化しながらも、相談に乗ってくれていたり(これは解決すると、あぁ、川北に助けられたなと後から分かったりする)。