「あ、おい……すげぇ…
めちゃくちゃ、嬉しい、よ、
あり、がとう…」


そこまで何とか言葉にすると、涙を拭い、恥ずかしさもあって顔をあげられず、ドレスをじっくりと見ることにした。


あのデザイン画から素材の質感を読み取るのはなかなか難しかったと思うのに、なぜか、手にとったそれは俺が思い描いていた雰囲気、質感に限りなく近かった。


レースの柄や、ホワイトだけではなくスカイブルーをまぜたチュールの重ね方も…


「な、んで…こんなに…」


俺は思わず呟いた。


小さな声だったが身を乗り出しぎみだった蒼には聞こえたらしい。


「なんで、それって…
私が選んだ素材…空の感覚にあってた…
そうゆうこと、かな?」


「あ、あぁ…正直…
驚いて…手が…ほら…」


蒼のほうへ差し出した右手は微かに震えている。


「ぉぉ…」


両手でそっとその右手を包み込んでくれた。


「あのね、なんでかは、分からない。
ただ…デザイン画を見てたら…
空はこうしたかったのかな?とか、
思いとか…心に見えたっていうか…」


「あ、でもね?他のはダメ…
あの、星野さん、だっけ?
雑誌にのってた新作ラフスケッチを、
想像してたことがあったけど、
店頭でみたら、違ってたの。
だから、きっと空のデザインだけなの」


そう言って俺の大好きな輝く笑顔をくれた。