蒼が来るまでステージには上がらないと、責任者につたえたが、出番まではまだ少し時間があるうちに来てくれてよかった。


「蒼…ごめんな?
モデルの女と腕組んで、
ランウェイを歩かないと
いけないんだ…」


そう話すと蒼の瞳が悲しい色を表した。


次の言葉がどちらからも出なくてただ、見つめあってた。


☆☆☆


「神木君、スタンバイの時間に
なるよ、どうかな?」


控室のドアが開いてデザイナーの星野さんが入ってきた。


☆☆☆


星野さんは最近人気のブランド『StarSky』のデザイナーとして注目の人で、俺の憧れでもある。


だから、父親に頼まれたときは天にも昇る勢いで喜んだんだ。


裏方として星野さんの側で仕事ぶりやデザインした服を見られるなんて、バイトとしては最高だと思ったんだ。


通称『S・S(エスエス)』はここ4年位で一気に人気が出て、中高生から20代の間で着られてるブランドで、デザインが普段使い出来るけど、ポイントに工夫があり、欧米から入ってきたブランドのように、買いやすい価格になっている。


☆☆☆


「お、いいなぁ、やっぱ
似合うね、これから専属になって
欲しいくらいだなぁ~」


と話しながら、こちらに来る。


「あれ…その子は…彼女、かな?」


「はい…」