その週末、俺はムスッとしたまま、渡された衣装に着替えていた。
☆☆☆
新しくオープンするショッピングモールのイベント会場の控室。
渡された服は確かに格好よくて、センスがいいものだし、サイズもなぜか…ジャスト。
でも、俺が頼まれたのは裏方の雑用だった。
なのに…来てみたらイベントファッションショーのモデルの代役になる、裏方が怖じけていて、さらに、デザイナーが俺を見て服に合うからと、モデルに押してしまった…
蒼じゃない女の横を、笑顔でウォーキングとか、最悪だろ…いくら小遣いが欲しいからってこれは最悪。
どうにもイライラが募る。
ヘアメイクの人を、無駄に睨みながら、変化する自分を見つめていたら、俺のスマホが着信をつげた。
確認すると蒼からだ。
『イベントのモールに買い物に来ちゃった♪
後で会えるかな?』
……最悪だ…
裏方っていってた俺がモデルとして登場したのをもし、目にしたら…ダメだ…ちゃんと伝えておかなくちゃ、蒼が悲しむ。
『裏方じゃなくて急にモデルを頼まれた、
控室に入れるように話しておくから、
今すぐ来て、それまで待つから』
2、3分すると俺と交代した青ざめた裏方の野郎が蒼を連れてきた。