亮一がまだ話を続けていたが、俺は自分の思考の奥深くに入り込んだ…


ホワイトディと誕生日。


そうだ、亮一の話を呑気に聞いてる場合じゃない。


俺も考え出さなくちゃな。


☆☆☆


バレンタインは男性から女性へっていう、外国風に蒼をもてなしたつもりだ。


蒼も満足して、プレゼントのウェディングドレスのデザインをとても喜んで、部屋にその日のうちに飾ったと言ってくれた。


でも、チョコも貰ったからホワイトディとして少しはお返ししたいし、その少し後の誕生日には去年よりいいものをあげたいなぁと思った。


でも、亮一に言ったように俺も金がないし。


誰か、割りのいいバイトを紹介してくれないかなと考えた。


夜、自宅で風呂から出てきた俺に、父親が声をかけてきた。


「空、実は頼みがあるんだか…」


「なに?」


「いやな、以前…中二だったか、
ポスターの撮影に代役で入って
貰ったことがあっただろう?」


そう言えば…中二の冬だから2年前だ、確かに父親が勤めるイベント企画会社のポスター撮りに助っ人で入ったことがある。


「また?」


短く聞いてみると、顎をさすりながら「ん…ポスターではないんだが…イベントのモデルがな…」と詳細を話しだした。