振り返らず亮一にそう答えた後、「よし、いくぞ?」と蒼に呼び掛けて、二人で「「せ~のっ!」」。
俺は、俺の弁当の救出に成功した。
後ろでは亮一が「あんたらもう帰ったら?空は絶対にこっち向かないし話も聞かないぜ?」
「成功~!」
まずは俺のを机の上に戻して蒼とタッチする。
「よしっ、つぎは
こっちだねぇ…」
自分の椅子の上の弁当箱を持ち上げて机に置き、散らばってしまったおかずは蓋に乗せている。
「あぁよかったぁ♪
卵焼きは私のも大丈夫だぁ」
嬉しそうに汚れをティッシュで拭いていく。
昼休みもだいぶ過ぎてしまい「蒼、そんくらいで早く食べろ…」と声をかけた。
亮一にきつく言われてたやつらは、弁当が半分以上が回復したのをみて、やっと息を吹き返したようだった。
そして小さめの声で、「ごめんなさい…」と謝ってから1組を出ていった、ようだった。
「亮一…悪かったな…」
卵焼きを食べながら謝った。
「いや…たいしたことは
ねえから…気にしなくていいよ」
そう言って七瀬さんと廊下に出ていった。
☆☆☆
あれからは誰も教室にもこなくて平和に過ごせた。
ともかく、約束通りに誰からもどんなパターンでも受け取らずやり過ごせて、夜、ベッドに入りようやくほっとした俺だった。