「あ、あぁ…」


「じゃあさ、さっそくミサンガ、
二人でつけてよ!ねっ?」


そう女子に言われて、亮一は隣にいたやつに箱を預けてまずは自分の手首に…


「あれっ?…ちょい、結んでくれ…」


ようやく結んで、次に七瀬さんに近づきベッドから腕を出した。


「あたしが支えておく…」


近くにいた三浦さんが七瀬さんの腕を、少しだけうかせるように支え持つ。


クラスのみんながベッドの回りに集まり何重かの輪が出来た。


亮一が七瀬さんの手首にミサンガを巻き付けて、ゆっくりと結んでいく。


しっかりと結ばれたそれを、亮一が両の手で包み込むようにした。


そして…しばらくみんなの、亮一の思いを伝えるように目を閉じて祈っているようだった。


まわりのやつらもみな、手を合わせ祈るように二人を見つめていた。


「えっ……?…」


亮一の、戸惑う声がしてみんなが目をそちらに向けた。


亮一はじっと、自分が包み込んだ七瀬さんの手首から先を見ている…


「い、ま…麗香が…
動いた……?」


小さな亮一の声は静かな会議室に響く。


「麗香っ?聞こえてるのか?
分かるかっ?」


みんなが息を詰めて見守るなかでミサンガが微かに揺れ始めた…


「あ…あぁ、あれだっ!
えっと、ナースコールッ!」


「ここ会議室じゃんっ!!」


「俺っ、誰か呼んでくるっ!!」


それからの数十分は瞬く間に過ぎた…