私は今校長先生に挨拶する為、校長室を探していた。


コツコツ コツコツ


あ、ここね。
こんな大きく校長室って書かなくてもわかるのになあ、と思いながらドアをそっと叩く。


コンコン


「綾瀬 櫻です。
入ってもよろしいでしょうか?」


丁寧な言葉遣いでそう問う。


「入りたまえ。」


中から渋い声が聞こえたのを確認し、中に入る。


カチャ


「失礼します。」



中に入ると真直ぐ奥に60代くらいの男性がふかふかの椅子にゆったりと座っていた。


「おお、君が実さまと杏さまの妹の綾瀬櫻さまか。」


にっこりと深い皺を作りながら微笑んだ。
第一印象は優しいおじいさん。


しかしその笑顔に違和感を覚えた。
が、そこはあえて問いただすことはしなかった。