「僕の名前、知ってたんですか?

嬉しいです。」

彼はそう言いながら顔を赤らめた。
わっかりやすい芝居ね。


いや、てかさ・・・知ってなかったら今君の名前呼んでないから。

という考えを心の奥にしまいながら、


「ええ、桐ヶ谷家は有名ですからね。

それにとても容姿が優れるご長男がいると、家族から聞いていましたので。」


私が“容姿がとても優れる”と言った瞬間、彼の目に冷酷な鋭い光をみた。