一瞬の沈黙の後、流と名乗ったそいつがけたけた笑いだした。
「そんな嘘ついちゃ駄目だよ、明日菜ちゃん。魔法なんて使えないでしょ?」
私は表情を変えずに笑顔のまま流と名乗ったそいつをみつめていた。
「あなたに言われたくないですね。」
「そんなこと言わずにさぁ。今からホテルいこ。」
若干目つきが鋭くなったような気がしたが、私はにっこり微笑んで、膨大な数の人間が行き交っている目の前の空間を手で指した。
「その辺にかわいい子沢山いますから、声かけにいったらどうですか?」
「どこにそんなかわいい子いるの?」
探す気もなく流と名乗ったそいつがちらっと目の前を行き交う膨大な数の人々に目を向ける。
「そのへんにいっぱいいるんじゃないですか?適当に声かけたら一人くらい捕まるでしょ?」
私はにやりと笑った。
「なーん、明日菜ちゃんがいいもん。俺がかわいいと思ったから声かけたんだし?」