「ぼくが、知ってる?」


知らないよ。

ぼくは、知らない。


「思い出しな。あたしは教えてやれないよ。

大好きな、ご主人がいるんだろ?」


いるよ。

あんず。

会いたい。

どうやったら、あんずのもとに戻れるの?

川の名前なんかどうでもいい。

早くぼくをあんずのもとに帰してよ。


「そんなこと言わないで」


黒猫さんは、ぼくの心の声まで聞こえるらしい。


「考えてみて?」


優しい口調で言う。


ぼくが、知ってる川……

あんずに関係するの?









……ああ、そっか。

分かった。

この川の美しさ。




クリスタルリバー。