そんなむずかしい話されたって、ぼくにはわかんないんだよ、あんず。

でもあんずは信じてたね。


「マリンは人の言葉が分かるの」


そう言って、ぼくのことを知っているたくさんの人に自慢してた。



……そう、間違ってなんかないさ。

最初は単語単語でしか聞こえなかったけどね、だんだんと長くて複雑な文だって分かるようになったんだから。

ぼくだって、分かるようになるまで、大変だったんだぞ。

耳を澄まして、あんずの言葉を必死になって聞いてたんだ。



どうして、って?

決まってるじゃないか。

あんずのこと、少しでもたくさん、わかりたかったんだよ。