「マリン、おいで?」

あんずは笑顔で手を広げる。


それはずっと前から…

そう、ぼくが子犬だったころからの、

ぼくを呼ぶときのあんずのしぐさ。


ぼくは知ってるんだ。

手を広げたあと、ほんのちょっと、右に首をかしげるくせ。

短いストレートの髪がさらりとゆれる。

はにかんだような笑顔が、短い髪によく映える。


ぼくの大好きなあんずの笑顔。