「ふざけんじゃねぇよっ!!」
そんな怒号で目が覚めた。
いつの間にか寝てしまっていたのか、
あたしはびっくりして顔をあげた。
なんだろう。この胸騒ぎ……。
この声は、確かにあたしの知ってる人、
宮原くんのものだった。
「こら!落ち着け、宮原!!」
「もっぺん言ってみろ!!てめぇ
わけわかんねぇこといってんじゃねぇぞ!!」
「宮原!!」
色んな声が飛び交う。
先生の怒鳴る声、
女子の黄色い悲鳴。
馬鹿な男子のあおる野次。
あたしは急いで宮原くんの教室に向かった。
『何……これ………?』
目の前に広がる惨状を目の当たりにして、
あたしは言葉を失った。
散乱する机と床に散らばる教科書。
真ん中を囲むようにして端に寄り添う女子たち、
なんとかとめに入ろうとするが怖くて
なかなか前にすすめない教師達。
その輪の中心にいたのは、間違いなく宮原くんだった。
だけど、ついさっき見ていたやさしい彼じゃなかった。
いつの日か見た、どうしようもなく不安な彼、
傷だらけで、“不良”のレッテルを貼られていた宮原涼介だった。
『宮原くんっ!!』