蒼羽はそんな咲夜を見て、何故か顔をしかめていた。

私は、それに気がつかなかった。
愛想の悪い自分に話しかけてくれる人なんかいない。
咲夜は、何故か特別な気がした。
私の頭は、勝手に咲夜の事を考えており、すぐそばにいた蒼羽に名前を呼ばれても気づかないほどだった。

これが恋なのか、一目惚れなのかと。
私の頭は、完全にのぼせあがっていた。

「杏子。
咲夜には、気をつけなよ。」

小声でそう話す蒼羽は、きっと咲夜が嫌いなんだろう。
私は、「ハイハイ。」と、聞き流していた。

そのうち、
ホームルームが始まり、蒼羽は席に帰っていった。