それとも、呆れたのか?

どっちにしても、樹里は誤解している気がした。

「佐伯さん、オススメのお店ってありますか?」

「そうだな……」

オレは考える振りして、パソコンに目を向けて、

「村中。今日上がっていいよ」

「え?」

「今、オレのパソコンにメールが届いて、この書類急ぎじゃなくなったんだ」

もちろん、そんなメールなんて届いていない。

「そうなんですか。じゃあ、佐伯さんも上がるんですよね?」

「いや。別の急ぎの仕事が入ったから、ご飯行けそうにないな」

仕事があるってのも嘘だ。