「手、つなぐの嫌?」

「ううん」

樹里が笑顔で首を横に振った。

入り口で入場券を買って、水族館の中へ。

すると……

「きゃっ!」

樹里が人とぶつかり、つまずいた。

「大丈夫か?」

「うん」

「樹里はトロクサイな」

なんて言いながら。
可愛いなぁと思ってしまう。
守ってあげたくなる。


「わぁ。キレイな熱帯魚だね」

「赤に紫に黄色。色鮮やかだな」

ガラス越しに、熱帯魚達は優雅に泳いでいる。

しばらく眺めていると、

「亮二、あっちには亀がいるよ」

樹里が指を差しながら言った。