樹里が開き直ったように見えて。

少しカチンときた。

「オレ言わなかった? オレ以外の男の誘いを受けるなよって」

「何よそれ? 何人の女の子に同じこと言ったの?」

「言ってないよ」

「彼氏でもない男の束縛なんて聞いてられない」

「樹里…」

「佐伯はそうやっていつも女の子を騙すんだ! その気にさせて…っ」


樹里は涙を流し始めた。


「そんなに、オレが他の女の子といるところ見て、悲しかった?」

「悲しいよ! 佐伯のこと好きなんだから!」


オレは耳を疑った。

今、確かに、オレのことを──

好きだと言った──。