樹里が告げた駅は、家から車で15分くらいの所にあった。


車に乗り込む樹里。
オレは呆然とした。

「樹里…」

「へっ…あっ…!」

樹里はオレの視線で気付いたようだ。

胸元のボタンが外れているということに。


慌ててボタンをとめていた。

オレは樹里が、あいつに何をされたかすぐに分かった。


強引に体を求められそうになったのだろう。


「無理矢理キスとかされてないか?」


「唇はなかったけど」

「どこにキスされたんだよ?」

「首筋…」

樹里の瞳からは、涙が溢れていた。