オレが呆然…いや、愕然としている間に電話は切れた。

やっぱりだった。
男といるという。
予想は見事的中してしまった。

樹里の奴。
オレの誘いは断るくせに、あの男にはついて行くんだな。

やるせない気持ちで、胸が苦しくなった。


そんなことがあった。
1時間後くらいに、携帯が鳴った。

着信は樹里。
かけ直してきてくれたのか?

「もしもし、どうした?」

「佐伯……」

樹里の声がいつもと違う。

「どうした? 泣いてるのか?」

「……っ」

「電話でオレにわけの分からないこと言っていた、男に何かされたのか? 今どこにいるんだよ?」