それでも、至近距離にいるオレたち。

「我慢できないよ」

「え?」

「好きな子が目の前にいたら、キスしたくなるよ」

そう言って、オレは樹里をドアの方に追いやった。

「樹里……」

樹里の肩に手をかけ、キスしようとしたけど……

「ちょっと! 佐伯ストップ」

樹里がオレの腕を掴んだ。

「何で?」

「ダメだよ」

「…分かった」

オレはため息をついた。
無理矢理キスして、樹里に嫌われたくない。

でも、簡単に引き下がってたまるか。