「でも悪いよ」

「気にしなくていいから」

「うん…」

オレは、車のエンジンをかけたけど、まだ帰る気にならなかった。

「そういえば佐伯くんと話すのって、初めてなのにすごい話せた気がする」

「そう?」

「佐伯くんが、女の子の扱いがうまいからかな?」

「何? オレってそんなイメージ?」

だとしたら、すごいショックだな。

「嘘。冗談」

「オレ、遊んでないから」

樹里ちゃんの顔を見つめた。

視線が合うと目をそらせた。

会話が途切れてしまった。

しばらくの沈黙の後、オレは口を開いた。