「今から、10分くらいで、救急車が来るので、頑張って下さいね」

彼女は背中をさすりながら優しい口調で言った。

「ありがとう…」

声を振り絞り、お礼を言った。



救急車がつく頃には、野次馬ができていた。

「佐伯、大丈夫か? オレが病院まで付き添うよ」

偶然、居合わせた、岩崎課長が一緒に救急車に乗ってくれた。


そこからの記憶はあまりなかった。


目を覚ますと、病院のベッドの上だった。

「佐伯、どうだ?」

岩崎課長が声をかけてくれた。

「なんか、チクチクしますね」