「恥ずかしくて会社に行けない!」

「誰も首筋ばっか見ないだろ?」

「そうだけど…」

樹里は仕方なく、そのまま会社に行くハメになったのだ。

オレは内心面白がっていた。

このまま、キスマークが消えないならいいのにと思ってしまった。




その夜、樹里から猛抗議を受けた。

「もう、亮二のおかげで恥ずかしかった!」

「まだ、キスマークのこと言ってるのかよ? 腹減った。今日のおかずなに?」

オレは話題を変えた。

「おでん」

「オレ、おでん食べたいなーって思ってたんだよ。さすが樹里だな。さすがオレの彼女」

そう言うと、樹里はニコニコさせて、夜ご飯の準備を始めた。

単純な奴だな…。