「樹里に片想いしてる時は、まさか一緒に朝が迎えられる日がくるとは思わなかったな」

「あれ? 亮二っていつから、あたしのこと好きだったの?」

「はっ? 朝から答えるような質問じゃないな」

「あっそ」

樹里が不満そうに言う。

質問を答えるのに、朝も夜もないよな。

「いつから好きだったの?」──何度も聞かれたけど、オレははぐらかし続けた。

半年も片想いしてたなんて。

恥ずかしくて言えるかよ。



ご飯を食べ終えた後、スーツに着替えて洗面所に行くと、樹里があたふたしていた。

「樹里、歯磨きたいんだけど」

そう言うと、樹里は不満そうに口を開いた。

「亮二。なんで、3ヶ所もつけたの?」

「そんなつけてた?」

つけてたというのは、昨日つけた首筋のキスマークのこと。

樹里は気になって仕方ないらしい。

オレは歯磨きを始めた。