助けて。
助けて。
『ゔあっ…』
人が死んでく。
『ぐあぁ…』
やめて。
やめて。
これ以上は………。
「お嬢様っ…?」
「あっ、わぁ……時雨、ごめんねー★」
「全く……稽古の途中ですよ?」
「わかってるってー」
そう言ってまた竹刀を手に。
剣には抵抗があった。
血にも。
匂いにも。
そして。
何も知らない。
大切な。
家族との記憶を。
何一つ。
それと。
人を想うことの素晴らしさも。
「はぁ……」
「?」
誰か教えてくれないかなー…
あたしの知らないこと。
全部。
けど。
「いっくよーー!時雨ーーっ!!」
強くならなきゃ。
あたしはその為に生きているのだから。
きっと。
神様はあたしにそれを宿命としてくれたんだから。