そして待ち合わせの時間、私はまだ遠かったか彼女を確認出来た。
が、あえて私は気づかないフリをした。


照れていたわけではない、普段と違う私を分かってくれるか?
そんな思いでの行動だった。


彼女は「おまたせ~」とやってきた。
私は「この日が来るまで相当待った」と言ってみた。

すると彼女は意味深に笑った。



まずはお昼を食べに行った。
イタリア料理屋でパスタを食べた。


彼女はトマトのパスタ、私はクリームのパスタを注文した。
食べている最中彼女は「そっちも食べたい」と言ってきた。

私はフォークで食べさせてあげた。
間接キスの瞬間だ、私の心の中は中学生のように浮かれていた。



次に行ったのは映画館。
彼女は見たい映画があったらしく、それを見た。


ラブストーリーだったらさりげなく手を握ったのだが、そんな映画ではなかった。
映画の後、しばらく街を歩いた。
デパートやゲームセンターなどに行った。


デパートではあれが似合う、これが似合うと言い合った。
人ごみに遭遇した時、さりげなく彼女の手を取ってエスコートが出来た。

しかし、その手を握り続けることは出来なかった。



こうしているうちに、街は日が暮れてきた。

私達は晩ゴハンをかねて飲みに行った。
次第にいい感じに酔ってきたが、突然彼女は私にこう問いかけてきた。



「どうして私を誘ってくれたの?」



私は一瞬、言葉に詰まった。
気持ちは決まっているのだが、言葉に出来なかった。
私はこう答えた。



「前に誘った時、楽しかったから」



彼女は「ふ~ん」と少し残念そうにつぶやいた。
どうやら期待していた答えじゃなかったようだ。


告白をする目標を達成出来るチャンスだったような気がするが、ここでは出来なかった。
彼女はどうして私の誘いを受け入れたのだろう?
私は彼女に聞いてみたかったが、聞けなかった。


私は彼女を誘ったのは2回で2回とも来てくれた。
1回目はともかく、嫌いだったら2回目は来ないだろう。

私はこれをどうとらえたらいいのか、わからなかった。



店を出て、そろそろデートも終わりに近づいてきた。
私は予想以上に酔っていたが、目標は見失っていない。


それでもフラフラと歩いている私を見て、彼女は気を使ってお茶を買ってきてくれた。


彼女はそのお茶を差し出してきた。
しかし私は、お茶ではなく彼女の手首を掴んで私のほうに引っ張った。


すると彼女は私にもたれかかった、私はその彼女強く抱きしめた。


彼女は少し硬直しているが、抵抗はしない。
私はここで本当に言いたかった気持ちを彼女の耳元で伝えた。



「好きだから誘った、オレと付き合ってほしい」



すると彼女はこう返してきた。



「私のどこがいいの?」



私はすかさずこう返す。



「全部だ、どこか嫌いな部分があったら好きにはならない」



ここで初めて彼女も私の背中に手を回してきた。
そして嬉しいのかどうか分からないが、泣いていた。

私は「なぜ泣く?」と聞いたが「わからない」らしい。





こうして初めてのデートは終わった。
あの時の抱きしめた感触、彼女の香りは忘れる事は出来ない
こうして私にも生まれて初めての彼女が出来た。
今までの彼女がいなかった生活と、彼女がいる生活、同じ日常でも全く違った。


やることには変わりなくても、意識的に全然違う。
極端に言えば、朝起きるにもなぜか目覚めがいい。
こうして私にまた新しい日々がスタートする。




しかし彼女が出来たとはいえ、相変わらず時間が合わない日々が続いた。でもこれは、お互いに覚悟をしていた事だ。

このぐらいの壁はあっさりと克服しないと、長い付き合いにはならない。





1日デートは滅多に出来なかった。
ほとんど、仕事終わりに食事に行くというパターンが続いていた。


男の私としては、だんだんと彼女のカラダがほしくなる。
当然だ、男はみんなオオカミの部分を持っている。
もちろん私も例外ではない。

私は自分の中のオオカミさんをなだめるのに苦労した。





次に1日デートが出来たのは月に1回あるかないかの店休日だった。

この時行ったのは、そして彼女のクチビルを奪ったステージは八景島シーパラダイスの花火大会の日だった。
私は彼女のクチビルをどう奪うかばかりを考えていた。
しかし私は、不覚にもここにいる様々な海の生物に夢中になってしまった。


中には生きているのかどうかも分からない生物もいたが、そんな生き物にも熱視線を送ってしまった。


イルカショーも見て、たくさんの海の生物と会話を交わして実に楽しかった。





ここには遊園地のようなアトラクションも満載だった。
彼女はジェットコースターに乗りたいといい出す。


私は死ぬほど乗りたくなかったが、男として断れない。
運がいいのか悪いのか、一番前に座ってしまった。


乗り終わったあと、私が大丈夫じゃないのに彼女に「大丈夫?」と声をかけて強がってみせた。


こうして昼間の時間を過ごして、勝負の後半に突入する。







花火が行われる夜の時間が始まった。

私達はビールを飲みながら、ベンチで花火を楽しむ。
迫力満点な花火が上がると周りから拍手が起きる。


しかし私達は拍手が出来なかった。
なぜなら、お互いの手がつながっていたからだ。
そんな花火が終わり、周りの人々は次々といなくなっていく。
周りと見るとちらほらとカップルが存在しており、男共は私と同じ事を考えているのだろうか・・・と勝手に思っていた。




爽やかな海からの風を受けながら、私達は言葉は交わさずに実にゆったりとした時間が流れていた。


私は「彼女は今何を考えているんだろう」と思っていた。
実際に聞いてみてもよかったが、正直に答えてくれないのは分かっていた。



私は実に自然に、そしてスマートに彼女の肩に手を回す事が出来た。
それと同時に彼女は私にもたれかかってくる。





まずは最初の関門をクリアした。
次は彼女の顔を私に向けなければならない。


とりあえず、私は彼女の頬にキス。
しかし髪の毛が邪魔だ、すばやくどかしてもう一度キス。
しかし彼女に反応がない。


調子に乗って耳を軽く噛んでみた。
ようやく彼女が反応した。




「なにしてるの~?」




と、笑って言ってきて彼女の顔が私に向いた。
私は「いや、別に」と言った瞬間、一気に彼女のクチビルを奪った。

すると彼女は一瞬で動きが止まり、私に身をゆだねていた。



一度、クチビルを離して彼女は「人に見られるよ」と言ってきたが、私はそれに答えずにかまわず再度キスをする。


最初は浅くキスをし、少しずつ深いキスに移っていった。
彼女も私の意志に自らの舌で答えてくれる。

お互いの舌はほどけないほど絡み合っていた。




キスの後、彼女は私と目を合わせてくれない。
恥ずかしいのか、ずっと私の胸に顔を埋めていた。



私的にはこれ以上の事を期待していたが、さすがにここでは出来ない。

この時のクチビルの感触と彼女の香り、いつまでも残っていたのは言うまでもない。
男としてはやはり彼女のカラダを抱きしめたいと思う。
大体の男子はそう思うだろう。


しかし、人間というのは相手の気持ちを理解しなくてはいけない。
相手が嫌がる事はしたくはない。
無茶をして今までの時間を水泡にはしたくはない。


私は一人で悩んだ。
彼女はどんな気持ちでいるのだろう?
彼女も抱きしめてほしいと思っているのだろうか?


こんな事は本人にも聞けないし、誰にも相談は出来ない。
やはり行動に移してみないと答えは分からない。
でも、愛する人とは抱きしめ合いたいはずだ。





この日に行ったのは横浜みなとみらい。
海が近くにあり、それなりにオシャレなスポットだ。


食事をし、色々な店を歩き、観覧車にも乗った。
観覧車は途中から彼女の隣に座った。


もちろん彼女は抵抗しない。
当然だ、もう僕達はクチビルを交わした仲なのだ。
夜には海の見える場所でまったりとした時間を過ごす。
あまりそこには会話はない、しかし常にカラダが触れ合っている。
会話はたまに聴こえる船からの汽笛だけで十分だった。






夜が更けると場所を桜木町に移す。
軽く飲んだ後、そろそろ帰らなければいけない時間だ。
しかしお互いに帰るとは言わない。



「今夜は一緒にいようか」
私はこう言うと彼女は何かを決意をしたかのようにうないずいた。
1日デート3回目での奇跡であった。





行った先は桜木町のホテル街。
彼女は黙って私についてくる、初めてのステージはここだった。


私はラブホテルに行くのはこれが初めてだ。
でも桜木町に詳しい私は、場所だけは分かっていた。





ここまで歩いている最中に、私は多少の不安がある。
はたして彼女を満足させてあげる事が出来るだろうか?
彼女を快楽の世界に連れていってあげる事が出来るだろうか?


もしかしたら彼女にとっては、これは余計な心配なのかもしれない。
しかし男の私はどうしてもこんな心配をしてしまう。




部屋に入ると、一緒に部屋を物色する。
それを見る彼女は何やらはしゃいでいる。
私は別の意味で心がはしゃいでいる。


しばらくの時間を過ごしていると、彼女はシャワーを浴びると腰を上げた。
しかし私はその手を取ってまた座らせて、そのままキスをした。
これだけですぐに彼女の動きが止まった。



彼女はまた「シャワー浴びないと・・・」と言う。
しかし私は「そのままがいい」と言ってベッドに押し倒す。
私の中のプチオオカミが現れた瞬間だ。


焦っているワケではない。
シャワーを浴びてしまうと、彼女の香りが消えてしまうのがイヤなのだ。
香りも含めて彼女のカラダを抱きたかった。





そして私は彼女の横にいながら、包み込むように彼女を抱きしめ・・・・・
人生初めての彼女と初めて一晩を過ごす。
この「一晩を過ごす」という言葉の持つ意味、お分かりであろう。



僕達はもうすでに丸いベッドのステージにいる。
彼女はすでに僕に全て託しているようだ。
その思いは彼女の僕を見る眼差しで分かった。


ベッドにいるが、まだお互いに服は着たままだ。
しかし僕はあえて脱がさない、慌てる必要はない。
まだ夜は始まったばかりなのだ。





僕はこれが初体験ではない、すでに幼なじみの人と経験済みだ。
あの時はどうすればいいか分からなかったが、終わった時には勉強した気分になった。


その勉強の成果をここで発揮しなくてはいけない。





とても深いキスをした後、耳が弱点と知っていた僕はあえて耳を攻める。
すると彼女は甘い吐息を漏らしながらカラダをくねらせる。
もちろん、僕はやめたりしない。


彼女は嫌がっているのかと思ったがそうではない。
なぜなら彼女の腕はすでに僕の背中に回って、抱きしめてくる。
彼女の思いを確認した僕は、さらにヒートアップする。