「…水上図書館だよね…道が一本、図書館の中央を貫いて通ってて…」

自分はさらに確かめるように、あの世界の事を話し始めた。

「そうそう、桜並木があって…」

「その先は?」

「え?その先…?私、その先見た事ないな〜」

「そっか…」

断片的な記憶…共有される記憶の世界…あそこは一体何なんだろう…

「あ、私いい事思いついちゃいました!」

「え…何?」

ボンヤリ考えていると、竹本さんが楽しげに提案した。

「サークル作りましょうよ〜『光の庭』って言う名前の!そうしたら、あの記憶を持っている人が集まるかも〜楽しそう〜」

キラキラと目を輝かせた竹本さんに見つめられ、目をそらす事が出来ずに…

「あ〜そうだね、ははは…」

とっぴな提案に自分は、適当にうなずきながら答えた。

この時はまさか本当に、サークルが出来上がるとは思ってもいなかった…

この世は何があっても、おかしくない…って事か…





「…なんてね?面白いでしょ?」

「いや〜どうかな…とっぴ過ぎない?」

二人の前を二匹の蝶々が、ヒラヒラと舞っていた。

人気のない中庭には満開の桜が咲いており、噴水の水音だけが涼やかに聞こえてくる…

今日は図書館近くのベンチで休憩をして、疲れた頭を休めていた。