「オレ、時々見ますよ?」

伊勢が嬉しそうに言った。

「本当?私、社会人になってから、めっきり見なくなったよ〜?」

「そう言えばオレも社会人になってから、減ったかも…花倉さんは?」

伊勢が花倉に話をふった。

「ん?自分も時々、見るよ…断片的に…」

「へ〜最近何か見ましたか?」

伊勢と竹本が興味津々に、身を乗り出して来た。

「そうだなぁ…桜並木にいる夢を見たよ…扉は基本、一人ずつしか通れないとか…例外はあるみたいだけど…それから番人は男もいるみたい…自分の時、見送り人がいなくて静かだったなぁ〜」

「え〜?花倉さん、そんな具体的なの見るの?しかも、扉をまさに通ろうとする記憶?」

竹本が興奮して言った。

「う、うん」

「じゃあ、扉の向こうって、どうなってました?」

伊勢が、少年のようなキラキラした目をしてたずねた。

「…覚えてないわ、その辺…光の中に入った所で、記憶が途切れてるってゆ〜か…」